米国の2026年1~4月の鉄鋼輸入量が前年同期比約30%減少した。232条関税が国内生産の押し上げに直接作用しているとの分析が出ている。

米商務省センサス局と米国鉄鋼協会(AISI)が集計した資料によると、今年4月の米国の鉄鋼輸入量は前月比で6%近く増加し187万ショートトンを記録した。しかし1~4月の累計輸入量は697万ショートトンで、前年同期(989万ショートトン)に比べ約30%急減した。特に4月時点での域内最大供給国は、韓国、カナダ、ブラジル、メキシコ、ベトナムの順だった。
こうした輸入減少は、トランプ政権が国家安全保障を名目に実施している232条関税の影響が直接作用した結果だ。昨年3月に25%で課された鉄鋼・アルミニウム関税はその後50%に引き上げられ、最近では農業用・産業用機械に限り25%から15%に引き下げる調整が行われた。米国鉄鋼協会のブランドン・ファリス副会長は「関税が意図した通りに機能している」と評価した。
実際、米国内の生産は明確な増加傾向を示している。AISIの暫定資料によると、5月30日時点の米国の粗鋼生産量は3,893万ショートトンで、前年同期比6.8%増加した。2025年以降だけで約500万トンの生産能力が新たに拡充され、USスチール、センチュリー・アルミニウム、現代製鉄などが追加増設を進めている。
ただし、イラン戦争による供給網の混乱も懸案として浮上している。モーニングスターのアナリスト、セス・ゴールドスタイン氏は「燃料サーチャージなどの追加コストが発生し、一部の輸入業者が価格変動を避けるため在庫確保を保留する動きを見せている」と述べた。戦争リスクが短期の調達戦略に直接的な影響を及ぼしている形だ。
一方、ファリス副会長は「一部の海外生産者が米国市場でのシェア維持のため、関税コストを自ら吸収している」と述べ、貿易規制の継続的な強化の必要性を強調した。関税負担を負ってでも市場に残ろうとする国が存在する以上、米国の通商圧力は当面緩和されにくいとみられる。
業界では、米国の関税政策と現地生産拡大が重なり合い、世界の鉄鋼供給構造自体が変化している流れに注目している。市場では今後、輸入量の縮小が避けられない中、供給網内の価格変動と輸送条件の再調整圧力が当面続くとの見方が出ている。特に一部の国が関税負担を受け入れてまで市場に残ろうとする動きは、物流ルートや契約戦略に複雑さを加える要因として挙げられている。