データは物流センターにとって最も価値ある資産なのか。

物流センターのデータが、人工知能(AI)投資の収益率を左右する核心要素として浮上した。DC Velocityによると、2026年時点で在庫管理は単純なSKU管理の次元を超え、あらゆる計数(count)から生成されるデータを精密に管理する方向へと転換しつつある。データがAI分析エンジンの原材料としての役割を担い、企業が大規模AI投資に対する実質的な成果を求めているためだ。
業界専門家は、サプライチェーンを通じて流入する在庫の速度と量があまりに膨大なため、データエラーの発生可能性が高まっていると指摘する。Zebra Technologies Corp.の物流産業責任者ウェス・コールマン氏は「データの統制と整合が最優先課題であり、特に入力ポイント(inputs)が増えるほどデータを調整する能力が重要になる」と述べた。実際、固定式バーコードスキャナー、ドローン、自律走行ロボット、RFIDスキャナーなど多様な技術が導入されたが、ドライバーがバーコードを読み取り損ねたり、作業者がモバイル端末に誤った数字を入力したりするなど、依然としてエラーが発生している。
在庫の計数は、サプライヤーによる出荷時点から入荷場、ラック、ピッキング・パッキング・出荷の全段階で行われる。コールマン氏は「各ポイントで在庫がなかったり、必要数量が不足していたり、誤った品目を取り上げて二つのSKUの在庫が同時に変動したりするなど、不一致が生じ得る」と説明した。こうした問題を解決するため、Zebraはクラウドベースの「Workcloud Integration & Orchestration(Workcloud IO)」製品を提供しており、これをデータフローの中枢神経系だと表現する。同ソリューションは、WMS、MES、ERPといった企業の基幹システムと現場作業者を、標準化された統合レイヤーでつなぐ。
一方、他の物流テクノロジー企業はロボットに在庫計数機能を追加する形で対応している。Locus Roboticsの協働ロボットは、ピッキングや積み付け作業の際に物品に触れるたびに在庫を更新する。Gather AIの飛行ドローンおよびフォークリフト用センサー、Corvus Roboticsの屋内飛行ドローン、Dexoryの通路巡回AMRなども市場に投入されている。これらは「ホワイトカラー」AIの分析能力と物理的なロボットの相互作用を組み合わせた「フィジカルAI」のアプローチを活用し、計数プロセスの改善に取り組んでいる。
Oracleは最近、自社のクラウドSCM製品にエージェンティックAI技術を追加した。このうち「Inventory Planning Command Center」は、在庫の可用性を高め、サービスレベルを改善し、欠品解消を加速する機能を提供する。Oracleは「これにより在庫管理が、手動追跡から自動化されたビジネス中心のワークフローへと転換する」と述べた。市場では、在庫計数・管理ツールが過去最多の水準で投入されているものの、収集したデータを管理する課題はむしろ大きくなっているとの見方がある。
グローバルサプライチェーンの次元では、データの完全性確保がAI競争力の出発点になりつつある。コールマン氏は「組織はデータガバナンスと統制力を備え、AIの課題に先手を打って対応しなければならない。データの正確性とそれがAIに及ぼす影響が企業を動かしている。データはAIの燃料だからだ」と強調した。
*出典: DC Velocity*