消費者が無料配送を求める中、小売各社はラストマイル運送業者を多様化している。FedEx・UPS・USPS以外の新規業者導入や配送料交渉が活発化している。

米国消費者の無料配送期待日数が2.7日に短縮された中、小売各社はラストマイル運送業者の選定基準を価格から信頼性へと転換している。コンサルティング会社AlixPartnersが発表した「第14回自宅配送調査」によると、消費者の94%が無料配送は購買決定に影響を与えると回答し、70%近くは「大きな影響」を与えると答えた。配送料が約10ドルを超える場合、ショッピングカートを放棄する消費者は3分の2に達した。
無料配送の期待速度は過去3.5日以上から今年は平均2.7日まで短縮された。食料品・食品は0.9日、大型雑貨は3.2日と、品目別の差も大きかった。この期待日数を満たせない場合、全体需要の20%以上が失われるリスクがあると推定された。AlixPartnersの物流・運送部門グローバル共同代表であるMarc Iampieri氏は「スピードと無料配送に対する消費者の期待は、かつてはアマゾンプライム会員限定のものだったが、今ではすべての小売カテゴリーの最低基準になっている」と述べた。
一方、小売各社の自宅配送コスト負担は増大している。回答企業の83%が前年比で自宅配送コストが増加したと回答し、64%は店舗取引と比較して自宅配送が収益性改善に寄与していないと答えた。無料配送のために最低注文金額を設定している企業は56%で、このうち半数はこの1年間で基準を引き上げた。22%は最低注文金額と有料メンバーシップの両方を要求していることが分かった。
こうしたコスト圧力の中、小売各社はラストマイル運送業者の再評価を進めている。調査開始以来初めて、信頼性が価格を上回り、主要運送業者選定の最優先基準として浮上した。従来のUPS・FedExの複占体制も揺らいでいる。回答企業の55%がUPS・FedEx・USPS以外の業者を利用しており、3分の1以上がこの1年間で従来の大手から積極的に物量を切り替えた。FedExは38%のシェアで、UPS(2023年ピーク時35%)を上回り、最も多く指名された1次運送業者となった。
消費者の選好度ではアマゾンが時間通りの配送と荷物の状態の両部門ですべての運送業者を上回った。一方USPSは、時間通りの配送に対する満足度と技術投資の両面で最下位だった。特に84%の消費者は、過去の配送経験(利用した運送業者、配達員のタイプを含む)が買い物先の選択に直接影響を与えると回答した。AlixPartnersの小売部門パートナーであるChris Considine氏は「運送業者の多様化は以前はコスト削減の手段だったが、今では回復力とブランド戦略の問題になっている」と分析した。
市場では自宅配送の経済性が悪化を続ける中、小売各社は単一運送業者への依存から脱却し、マルチキャリア体制の構築へと戦略を修正している。特にプレミアム顧客の間では、箱に貼られた運送業者のロゴ自体が製品の一部であるという認識が広がっており、業界全体のラストマイル競争構図に変化が及ぶとみられる。
*出典:AlixPartners*