MSCがスエズ運河経由の東西航路を一部再開。紅海通過を慎重に進め、業界の正常化が加速する可能性。

世界最大のコンテナ船社であるMSCは、紅海の最新の安全・運航状況を総合的に検討した結果、限られた数の東西航路でスエズ運河経由の輸送を一部再開すると発表した。同社は今月、7隻の船舶を同運河に通航させる方針をすでに表明しており、今回の決定はその具体化となる。
対象となるのは、アジア・地中海間の「Jade」サービスに配船されるMSC Michel Cappellini、アジア・北ヨーロッパ間の「Albatros」サービスに配船されるMSC Josefina、インド・地中海間の「Himalaya」サービスに配船されるMSC Beryl、アジア・地中海間の「Tiger」サービスに配船されるMSC AnnaとMSC Tinaの各船で、東航・西航の双方が含まれる。
MSCは、状況に応じて個別の航海を調整できるよう緊急時の対応策を維持しつつ、船員・船舶・貨物の安全保護を最優先事項とすると述べている。これにより、主要な船社アライアンスのうち、プレミア・アライアンスを除く各グループが紅海経由の航路再開に向けた動きを本格化させることになる。同アライアンスはMSCのTigerサービスにスペースを確保しており、一部の貨物はスエズ運河経由で輸送される見込みだ。
業界コンサルタントのラース・イェンセン氏は、今回の動きが航路正常化に向けた流れを示すものだと指摘する。同氏の試算では、このペースが続けば2026年末までに輸送網の正常化が見込まれる一方、過剰な船腹を吸収するため一部のサービスは引き続き喜望峰回りを維持する可能性があるという。
紅海危機の影響はコンテナ設備やネットワーク効率にも及んでおり、Sea-Intelligenceの分析によると、空コンテナの輸送距離は荷主が利用する本船貨物と比べて約4.5%長くなっている。これは、荷主が運賃上昇に加えて、空コンテナの回送距離の増加によるコスト負担も強いられていることを意味する。MSCの動きは危機前のネットワーク回復への一歩となるが、安全性・船腹・設備のバランスを考慮した段階的な移行が続くとみられる。
原文: The Loadstar ↗