フォードは関税曝露低減のため、中国製リンカーンの米国輸入を段階的に終了し、2030年から米国生産を拡大する。

フォード・モーターは、関税負担を軽減するため、中国から米国へのリンカーン車の輸入を段階的に終了すると発表した。対象となるのは、長安汽車との折半出資合弁会社である長安フォードが中国で組み立てる中型SUV「ノーチラス」などで、現在中国からの輸入車には52.5%の関税が課されている。同社は2030年からリンカーンの米国生産を増強し、数千人規模の直接的・間接的な雇用創出を見込む。
フォードは米国の通商規制や関税に対応するため輸入戦略を見直し、国内生産を推進する。2012年に設立された長安フォードは中国市場向けにフォードとリンカーンの両ブランドを生産しており、杭州工場ではリンカーンノーチラス、アビエーター、フォードエクスプローラー、エッジLを製造している。一方、リンカーンナビゲーターとアビエーターは米国で生産され、カナダやメキシコ、中東などへ輸出されている。
フォードは昨年、米国内で200万台以上を組み立て、他社を上回る生産実績を記録した。ジム・ファーリー社長兼CEOは「リンカーンは典型的なアメリカのブランドであり、フォードはアメリカの自動車メーカーだ。これは容易な道ではないが、我々はアメリカを信じている」と述べた。
背景には、2025年1月に最終決定された「コネクテッドビークル規則」がある。この規則は、中国と関連する車載技術を搭載した自動車の輸入・販売を制限するもので、商務省はブルートゥースや携帯通信、衛星技術と自動運転プラットフォームの外部接続に安全保障上の脅威があると指摘する。6月には電気自動車メーカーのポールスターが、米商務省産業安全保障局の許可が下りず、2027年モデルからの米国市場撤退を発表しており、自動車各社の中国関連事業に影響が広がっている。