ロシア大統領が欧州による船舶押収計画を「海賊行為」と非難し、報復措置を示唆した。

ウラジーミル・プーチン大統領は、欧州諸国がロシアの商業船舶を押収する計画を実行に移した場合、同様の措置で報復すると警告した。プーチン氏は巡航ミサイル巡洋艦「ヴァリャグ」乗艦中の太平洋艦隊関係者との会合で、一部の国が国際海事法に違反してロシア企業の船舶の航行を制限しようとしており、最近では船舶押収や財産売却まで検討していると述べ、「これは海賊行為であり略奪にほかならない」と非難した。
この警告は、欧州連合(EU)が7月に、制裁回避を試みる影の船隊の石油を積んだ船舶を加盟国が没収・売却できる仕組みを採択したことを受けたもの。21回目の制裁パッケージに含まれたこの措置は穀物貨物も対象とする。プーチン氏は、欧州がこの措置を実行すればロシアも同様の対応を取るとし、報復は船舶が押収された海域に限定されず、太平洋艦隊の担当区域を含む「自国が適切と判断する場所」で実施すると強調した。
プーチン氏は国防省に報復準備の指示を出したことを明らかにした。太平洋艦隊司令官のヴィクトル・リイナ氏は、アジア太平洋地域の海上交通を「詳細に分析」したと述べ、航路や積載貨物、船舶の所有者を把握していると報告した。
リイナ氏によると、4月24日から8月6日までに千島列島沿いのロシア排他的経済水域を通過した船舶は1001隻で、うち379隻がロシアが「非友好国」と分類する国の旗を掲げていた。内訳はばら積み船273隻、タンカー71隻で、英国籍26隻、フランス籍9隻が含まれる。
EU諸国と英国は今年に入り、ロシア産石油を輸送するタンカー5隻を拘束した。7月20日にはEU加盟国が関与する作戦で「サウススター」号が停止された。フランスはタンカー「グリンチ」「デイナ」「タゴール」を迎撃したが後に解放し、英国は6月14日から石油10万トンを積んだ「スミルトス」号を拘束している。スウェーデンは3月に貨物船「カッファ」を抑留した。ロシア側はこれらの動きを国際法違反とみなしており、太平洋艦隊は報復の標的を選定するための情報収集を進めている。
今回の発言は、ロシアがウクライナ侵攻後に欧米から受けた制裁に対抗し、海事分野での圧力を強める姿勢を示したものだ。太平洋地域ではロシアが重要な航路を監視下に置いており、今後の対応次第で同地域の商船の安全に影響が及ぶ可能性がある。