ロシアが自前の衛星通信網「ラスベット」を予定より速いペースで構築し、2027年までに292基を目指すとウクライナ情報機関が明らかにした。

ウクライナ国防省情報総局のワディム・スキビツキー副長官は、ロシアが独自の衛星インターネット網「ラスベット」を当初計画より速い速度で展開しており、2027年までに約300基の衛星を軌道上に配置する計画だと明らかにした。現在は16基が稼働しており、ウクライナ領土上空を通過する際にのみ断続的に運用できる状態にある。
スキビツキー氏はウクライナメディアの取材に対し、ロシアは2027年までに292基、2035年までに924基の衛星網を構築する方針だと述べた。衛星群が完全に展開されれば、米スペースX社のスターリンクと同様の運用が可能になるとし、対抗策の検討が既に始まっていると付け加えた。スターリンクはウクライナで運用されているが、ロシア国内では利用できず、ウクライナ軍の無人機運用や戦場通信で大きな優位をもたらしてきた。
ロシア軍はこれまで、ウクライナ国内で並行輸入されたスターリンク端末を使用していたが、ウクライナ側の働きかけにより、スペースXが今年初めにこれらの端末を無効化した。これが戦場の勢いをウクライナ側に傾ける要因の一つとなった。ロシアはこの空白を埋めるため、自国製システムの開発を加速しているとみられる。
スキビツキー氏はまた、ロシアのミサイル生産状況にも言及した。ロシアは今年最初の7か月間で、ジルコンとオニクスの年間生産目標を既に達成しており、2026年の生産目標に対しても10〜20%上回るペースで生産を進めている。一方、ウクライナ側の弾道ミサイル開発や無人機生産施設は、ロシアのミサイル攻撃の優先標的になっているという。
ロシアが主力とするイスカンデルM弾道ミサイルの備蓄は約130発と推定され、7月には65発が新たに生産された。ウクライナは迎撃ミサイルの備蓄を消耗しており、ロシアは超音速ミサイルによる攻撃を継続している。衛星通信網の整備と並行して、ロシアの軍事能力は強化されつつある。
ラスベット網が完全に稼働すれば、ロシア軍の通信能力と無人機運用が大幅に向上する可能性がある。ウクライナ側はこれを想定し、対抗手段の検討を進めているとみられる。