ロシアは2026年1〜5月にEUへ鉄鋼・アルミを計7.7億ユーロ超輸出し、制裁の隙間を利用した貿易が続いている。

ウクライナ戦争が5年目に入る中、ロシアは欧州連合(EU)との商業関係を維持し続けている。EU統計局(ユーロスタット)の最新データによると、2026年1〜5月のロシアからEUへの輸出額は約100億ユーロ(約114億ドル)に上り、その収益はウラジーミル・プーチン大統領の戦争機構に関連する富豪らの懐に入っている。貿易総額は戦前水準から大幅に減少したものの、ロシアは制裁の例外措置や厳しい制限が課されていない分野を通じて、エネルギーや金属、その他工業製品をEUに供給し続けている。
ロシア・EU間の貿易で最大のシェアを占めるのはエネルギーで、液化天然ガス(LNG)が中心、次いで原油・石油製品が続く。EUはロシア産原油の大半の輸入を禁止済みだが、残るエネルギー貿易の約55%に相当する約37億ユーロ規模のロシア産LNG輸入の全面禁止は2027年に施行される予定だ。また、ロシア系石油会社ルクオイルがルーマニアとブルガリアに保有する欧州最後の製油所2基は、米国の制裁を受けて2025年に所有権移転の準備を進めている。
制裁の大きな隙間が残るのが金属分野だ。ユーロスタットによると、ロシアは2026年1〜5月にEUへ鉄鋼700万ユーロ超、アルミニウム700万ユーロ超を輸出した。アルミ大手ルサールは、創業者オレグ・デリパスカ氏が制裁対象である一方、同社自体は制裁対象外で、アイルランド、スウェーデン、ドイツに工場を構える。イタリア工場は2025年から生産を停止しているが、欧州の自動車部品向け鋳造合金や屋根材・換気システムなどの建設資材を生産している。
鉄鋼大手NLMKグループも、ロシアで6番目の富豪ウラジーミル・リシン氏が支配するが、ベルギー、イタリア、デンマークで製鉄所を操業し、半製品を輸入して欧州市場に供給している。EUはロシア産鉄鋼の輸入を段階的に制限してきたが、高付加価値製品や一部の例外品目は依然として流入が続く。制裁の実効性を巡っては、金属分野での規制強化が今後の課題となっている。