トランプ米大統領がロシア産ディーゼルの供給で合意したが、米国内の燃料価格を下げる効果は限定的との見方が出ている。

トランプ米大統領がロシアとの間でまとめたディーゼル供給の合意について、米国の消費者への効果よりもロシアの石油会社に利する面が大きいとの見方がアナリストから出ている。ロシア企業は輸出規制の緩和で恩恵を受ける一方、約束された供給量が米国の燃料価格を押し下げる効果は乏しいという。この合意に対してはウクライナと欧州の同盟国が強く批判しており、米国内でも議員らが精査している。
トランプ氏は、ロシアが30万トンのディーゼルを米国と世界市場に「直ちに」供給し、11月にさらに50万トン、その後は100万トンを供給すると発表した。合意の背景には、2月下旬にイラン戦争が始まって以降の世界石油市場の混乱がある。米国のディーゼル価格は1ガロン当たり6.179ドルまで上昇し、前年同期比で約70%高くなっている。製油所の稼働低下により世界のディーゼル輸出は大幅に減少し、2026年1~9月の合計は約1億7220万トンと前年同期比10%減った。
価格上昇は、トランプ氏の伝統的な支持基盤であるトラック運転手や農家を含む米国人を圧迫している。中間選挙まで1カ月を切る中、世論調査集計サイトのシルバー・ブレティンによると、73%が生活費への対応を支持していないと答えた。
ロシアからの追加供給は、米国のディーゼル不足を直接緩和することを目的としたものではない。米国はすでに消費量の約4分の1多いディーゼルを生産しているためだ。しかし米国の燃料価格は世界市場に左右される。他国がディーゼルに高い代金を払うほど、国内消費者も高い価格を払わされることになる。
世界市場にロシア産ディーゼルが増えれば、米国に直接輸出されるかどうかに関わらず、需給の差が縮まることで米国の価格低下につながる可能性がある。ロシアや中東の生産者に燃料供給の増加を促すことが、ワシントンが価格を下げる最も直接的な方法だ。米国の製油所はすでにほぼフル稼働しており、輸出を制限して国内燃料価格を強引に下げれば、貯蔵能力の制約など別の問題を生むためだ。
ロシアは米国と同様にディーゼルの純輸出国であり、消費量を上回る量を生産して余剰を海外で販売している。この構造はウクライナ情勢を巡る状況でも変わっていない。