EUが150ユーロ以下の低額EC貨物に3ユーロの一律関税を導入し、域内向け電子商取引貨物の通関手続きが大きく変わる。

欧州連合(EU)は2026年7月1日から、域外から輸入される課税価格150ユーロ以下の電子商取引(EC)貨物に対し、品目ごとに3ユーロの一律関税を暫定導入した。従来は免税扱いだった低額貨物が新たな課税対象となり、通関手続きの負担が増すことで、域内向けEC貨物の取扱量が急減している。アジアのマーケットプレイスやオンラインショップから発送されるこうした貨物は、航空貨物需要の拡大を支えてきたが、今回の制度変更でその流れに影響が出始めた。
新制度は、1個の梱包単位ではなく、明細行(ラインアイテム)ごとに3ユーロを課す仕組みだ。輸出側の販売事業者またはプラットフォームは、購入時点で仕入れ先のワンストップショップ(IOSS)を通じて付加価値税(VAT)を徴収し、税関に正しい申告データを提供する必要がある。さらに2026年11月1日からは、貨物に製品識別子の添付が義務付けられ、税関が箱を開けずに内容物を確認できるようにしなければならない。
この制度変更は、欧州委員会が低額貨物の関税回避を防ぐ目的で導入したもので、EUの輸入管理システム(ICS2)を通じてリスク評価を行い、航空輸送前に審査を完了させる計画だ。関係者の間では、新たな費用負担と手続きの複雑化が、低価格品を中心としたECビジネスの競争力を損ない、物流コストの上昇につながるとの懸念が出ている。
航空貨物業界では、過去10年にわたりEC貨物が輸送量増加の原動力となってきた。しかし、新関税の導入後は、特に単価の低い商品で課税額が利益を圧迫し、小口荷物の取扱量が減少する兆候が見られる。欧州委員会は今後、低額EC貨物の通関制度を協議するため、来月開催予定の会合で関係事業者から意見を聴取する方針であり、制度の見直しや運用改善を求める声が強まるとみられる。
今回の措置は域内消費者向けの越境ECに直接影響を与える。物流事業者には、新たな関税を前提とした料金設定や通関データの整備が求められ、今後数カ月の輸送動向が注視される。業界では、制度の適用範囲や手続きの詳細がさらに明確になり、実務への影響が具体化するにつれて、対応策の検討が進むことになる。