任天堂が米国によるIEEPA関税の還付金3億ドルを受け取った。関税負担は軽減されたが、メモリー価格高騰による収益圧迫は続く。

任天堂は、2026年3月期第1四半期の決算報告で、米国による不当関税として支払った約3億ドルの還付金を獲得したと明らかにした。同社は最新ゲーム機「Switch 2」の発売を控え、昨年米国政府が導入した国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく追加関税の負担を強いられていた。還付金の受け入れにより、同四半期の売上総利益率は前年同期比で22ポイント改善し、営業利益率も150.5%増と大幅に回復した。
任天堂は昨年3月、最高裁判所がIEEPA関税を無効とする判決を下したことを受け、関税還付を求めて米国政府を提訴した企業群の一角に加わった。同社は一部ハードウェアの価格を引き上げていたが、これは「市況によるもの」として関税との直接的な関連性を否定している。
一方、米国税関・国境警備局が輸入業者への還付手続きを開始した翌月には、消費者による集団訴訟が任天堂に対して提起された。訴訟は、同社が関税負担を価格に転嫁したのだから、還付金を顧客に還元すべきだと主張する。任天堂は「消費者は関税還付を受ける法的権利を有しない」として訴えの却下を求めており、現在も係争中である。
還付により一定の救済は得たものの、任天堂は依然としてサプライチェーン上の課題に直面している。特にメモリー価格の高騰が顕著で、2027年3月期第1四半期には部品価格の上昇により約630億円の損失を計上した。同社はこの影響を理由に、ゲーム機の価格をさらに引き上げる方針を示している。
任天堂は、還付金の獲得と並行して、メモリーを含む部品調達コストの上昇に対応するため、引き続き価格戦略の見直しを迫られている。同社の収益構造は、関税問題の解決後も、半導体市場の動向に左右される状況が続く。
今回の還付は、米国政府の関税政策が企業業績に与えた影響の大きさを示すとともに、司法判断による是正が実務的な救済につながった事例として注目される。任天堂の対応は、他社の関税還付申請や価格設定にも影響を与える可能性がある。